心理療法 Psychotherapy

催眠療法とは

一般的なカウンセリングや認知療法、行動療法などは、主に意識(顕在意識)への働きかけが多くなります。それに対して無意識(潜在意識)に働きかける心理療法の一つが催眠療法です。意識に働きかけ、認知を修正したり、行動を変容させたりすることは大変有意義なことです。

しかし、場合によっては、心や身体、人間関係に現れている症状や問題が、もっと心の奥深くにある場合もあります。

その場合は、あたりまえですが、心のもっと深い部分にまで働きかける必要があります。しかし、日本ではなかなか催眠療法を使いこなせる心理セラピストは多くありません。当クリニックでは、催眠というツールをしっかりと何年にもわたって学んだ心理セラピストたちが、顕在意識、潜在意識の両方に働きかけるカウンセリングや心理療法を提供しています。かつては、まぶたの開閉や1点凝視法や催眠をかける医師の権威などを使ったものが主な催眠の技法でした。これを古典的催眠と呼んでいます。もちろん現代でもこのような古典的催眠は使います。それに対して、精神科医であり、優れた催眠療法家であったミルトン・エリクソンは、従来の権威を使った催眠導入ではなく、受容的な働きかけや催眠に入れる方と入れられる方の信頼関係(ラポール)を使った催眠導入を提唱しました。これを現代催眠と呼びます。患者さんの状態や症状に応じて、柔軟に催眠誘導法や催眠下での療法を使い分けられることが必要です。当クリニックでは、もちろんさまざまな催眠誘導法を使い分けながら、心理療法を提供しています。認知行動療法が、思考、行動に働きかけているのに対し、催眠療法は、感覚、感情、記憶に働きかけます。そのため、顕在意識の変容では対処が難しい場合のトラウマケアや自己変容に向いていると言えます。

しかし、催眠療法には注意が必要です。
催眠療法は症状の改善に大変有効なツールですが、その分、使い方を間違えるとリスクもあります。
催眠療法は潜在意識という心の深い部分に働きかけるものです。
それは言うなれば、心の外科手術のようなもの。
たとえば、お腹が痛くて病院に行くと、触診の後に血液検査やエコー、CT、レントゲンなどの精密検査をし、その結果をもとにして今後の治療方針を決めます。
当カウンセリングセンターでは、心理療法の前のカウンセリングでの人生脚本の分析がその精密検査にあたります。

しかし、まだまだ日本の催眠業界では、カウンセリングもそこそこに、またはカウンセリングらしきものはしても、その後のセラピーではカウンセリング内容がまったく活かされていない。そんな状況です。
これは、腹痛で来院した患者さんに盲腸だと決めつけて、すぐさま手術をしてしまい、開腹してみたら、盲腸は炎症が起こっておらず、なんだか他の部位が炎症を起こしている。
でも、処置の仕方はわからない。だからとりあえず盲腸を切除しておく。みたいな危険なことです。暗示療法レベルではかまいませんが、退行療法をする場合には、きちんとした
分析結果をもとに治療方針を決めるべきです。

当カウンセリングセンターがまずは、カウンセリングに時間をかけさせていただくのはそのためです。
さらには、どんな症状の方にも盲腸の手術をするのではいけません。
その症状に合わせたセラピーはすべてテーラーメイドであるべきなのです。