
目次
記事に対する説明
本記事では、パートナー(配偶者や恋人)がうつ病や不安障害などの「メンタル不調」を抱えているときに、どのようにサポートし、共に乗り越えていくかについて、心療内科医の視点から具体的かつ優しく解説します。無理に元気づけようとすることが逆効果になる場合や、「共倒れ」を防ぐための自分自身のケアの重要性も丁寧に紹介します。
はじめに
「大切な人が元気をなくしている」——それは、誰にとっても心を揺さぶる出来事です。けれど、どう声をかけていいかわからず戸惑ったり、自分自身もつらくなったりすることがありますよね。今回は、心療内科医の視点から、パートナーのメンタル不調と向き合う際のヒントをお伝えします。
メンタル不調のよくあるサイン
パートナーが以下のような状態にあるとき、それは「心の不調」のサインかもしれません。
- 眠れない、寝すぎる
- 食欲が極端に変化する
- 表情が乏しくなり、話しかけても反応が鈍い
- 「生きていても意味がない」などの発言
このような状態が2週間以上続く場合、うつ病などの可能性があります。
「励まし」より「寄り添い」が大切
「がんばって」「元気出して」と言いたくなる気持ちは自然ですが、心の病においては逆効果になることがあります。大切なのは「あなたのことを気にかけているよ」と伝える姿勢。
たとえばこう言い換えてみてください:
- 「無理しなくていいよ」
- 「一緒にゆっくりしよう」
- 「話したくなったら、いつでも聞くよ」
共倒れを防ぐためにできること
献身的にサポートしようとすればするほど、サポートする側も消耗してしまいます。
自分自身も「疲れている」と感じたら、それは大切なサインです。
- 定期的に一人の時間を取る
- 信頼できる第三者(友人や医師)に話す
- 専門機関に相談することも、選択肢の一つです
心療内科・カウンセリングの活用法
一人で抱え込まず、専門家の手を借りることが大切です。
特にうつ病や不安障害の初期段階では、カウンセリングや軽度の薬物療法で改善が見込めることも少なくありません。
自分もケアすることを忘れないで
「相手のため」と思って無理を続けると、自分の心身が限界を迎えます。
相手と自分、どちらも大切にすることが、結果的に回復への近道になります。
医師からのメッセージ
メンタル不調は「特別な人のもの」ではありません。どんな人にも起こり得るものです。
大切なのは、理解しようとする気持ちと、適切なサポート。そして何より、自分自身のケアも忘れずに。
つらいときは、一人で抱え込まず、ご相談ください。心療内科はその一歩をお手伝いする場所です。
引用文献(PubMed)
National Institute of Mental Health. “Depression.”
https://www.nimh.nih.gov/health/topics/depression
Figley CR. Compassion fatigue: Psychotherapists’ chronic lack of self-care. Journal of Clinical Psychology.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25405950/