
このブログ記事では、「本当はつらいのに無理に笑って“大丈夫”と答えてしまう」そんな人が抱えやすい心の疲労やストレス性の不調について解説します。心療内科医の視点から、“本音を押し込めること”が心にどのような影響を与えるのか、放置するとどうなるのか、そして心療内科でできるケアについても詳しく紹介しています。
「大丈夫」と言ってしまう心理
私たちは、周囲に迷惑をかけたくない、弱さを見せたくないという思いから、「本当はつらいのに“大丈夫”」と言ってしまうことがあります。とくに責任感の強い人や、人間関係を大切にする人ほどこの傾向が強いです。
しかし、その“がんばり”が積み重なると、心が疲弊していきます。
我慢の限界サイン:心の疲労と身体症状
以下のようなサインが出ていたら、それは「限界」のサインかもしれません:
- 朝起きるのがつらい、仕事に行きたくない
- 食欲がない、または過食
- 慢性的な疲労感
- 突然涙が出る
- 頭痛や胃の痛みなど、原因のわからない身体の不調
これらは「ストレス性の不調」や「うつ症状」の一部であり、心と体が無理をしているサインです。
本音を押し込めることで起こる心の病
自分の気持ちを抑え続けると、うつ病や適応障害、**身体表現性障害(心身症)**などを発症するリスクが高まります。
研究でも、感情抑制が心身に与える悪影響は明らかになっており、心の声を無視することは決して安全ではありません。
🧾【引用文献】
Gross JJ. Emotion regulation: Current status and future prospects. Psychol Inq. 2015;26(1):1-26.
→ PubMedリンク
心療内科でできるサポートとは?
心療内科では、以下のような方法であなたの心と体をサポートします:
- カウンセリング(認知行動療法など)
- 薬物療法(必要に応じて)
- 生活習慣や睡眠、職場ストレスの調整指導
- 「自分の気持ちを表現する練習」
「ただ話を聞いてもらうだけで涙が出た」という方も少なくありません。専門家に話すことで、自分自身の状態を客観的に見直すきっかけにもなります。
一人で抱え込まないために
「大丈夫」と言うことは、優しさの表れかもしれません。けれど、自分が壊れてしまっては本末転倒です。あなたの心の声を聞く時間を、少しでも持ってみてください。
医師からのメッセージ
無理して「大丈夫」と言うよりも、つらい時は「助けて」と言ってください。それは弱さではなく、“自分を大切にする力”です。
一人で抱えず、専門家と一緒にあなたの心の重さを分かち合いましょう。