
現代社会において、主婦は家事、育児、地域活動など、複数の役割を担っています。その一方で、自分の悩みや不安を相談しにくく、気づかないうちに“うつ病”を発症しているケースも少なくありません。このうつ病は軽視されがちですが、早期発見と適切な対策がとても重要です。
症状が見逃されやすい理由
- 一般的な症状だから
- うつ病の症状には「疲れやすい」「眠れない」「やる気が出ない」「頭痛や肩こり」など、誰にでも起こり得る身体的不調が多く含まれています。このため、単なる疲労や加齢によるものと誤解されやすいのです。
- 家庭内での役割意識の強さ
- 「家事をしなければ」「育児をちゃんとしなければ」という意識が強く、自分の不調に気づいても我慢してしまう方が多いです。責任感の強さが、症状の悪化や長期化を招きます。
- 周囲の理解不足
- 「ただの甘え」「主婦なのに何が辛いの?」という社会的偏見や、相談相手の不在も問題となります。そのため、症状を言い出せず、医療機関の受診にいたらないことが目立ちます。
うつを見逃さないためのチェックポイント
- 毎日憂うつな気分が続く
- 朝起きるのがつらい
- 家事・育児に手がつかない
- 趣味などの楽しみが感じられない
- 食欲や体重に変化がある
- 過度な疲労感や不眠が続く
このような症状が「2週間以上」継続した場合は、心療内科や専門医への相談をおすすめします。
早期対策と治療方法
- まずは相談!――専門家の受診
- 恥ずかしがらず、心療内科やメンタルクリニック、カウンセラーに早期相談しましょう。早い段階での受診が、回復の近道です。
- 家族や身近な人に気持ちを伝える
- 無理せず、自分の状態を家族や信頼できる友人に打ち明けてみましょう。理解されることで心の負担が軽くなります。
- セルフケアの大切さ
- 睡眠・食事・適度な運動など、生活リズムを整えることが症状の改善につながります。無理をせず「できることだけ」に取り組みましょう。
- 必要に応じて薬物療法や心理療法
- 医師の指導のもと、抗うつ薬やカウンセリングなどの治療を受けることで、より早く改善が見込めます。
医師からのメッセージ
「心の不調は決して恥ずかしいことではありません。あなたの気持ちや疲れは、きっと誰かが理解しています。一人で抱え込まず、専門家や周囲の人へ、安心してご相談ください。」
文献・引用
- National Institute of Mental Health. Depression: What is Depression?
https://www.nimh.nih.gov/health/topics/depression“Depression (major depressive disorder or clinical depression) is a common but serious mood disorder.” - World Health Organization. Depression.
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/depression“Depression is a common mental disorder. Globally, it is estimated that 5% of adults suffer from depression.” - Kessler RC, et al. The epidemiology of major depressive disorder: results from the National Comorbidity Survey Replication (NCS-R). JAMA. 2003;289(23):3095-105.“Depression is often underrecognized and undertreated, especially in non-clinical populations.”