
「明日は大事な模試なのに、不安で目が冴えてしまう…」 「クラスの人間関係がうまくいかず、夜になるとそのことばかり考えて眠れない…」
そんな経験はありませんか?多感な時期である学生時代は、受験のプレッシャーや複雑な友人関係など、大人とはまた違った種類の大きなストレスがかかります。眠れない夜が続くと、勉強に集中できなかったり、日中も気分が落ち込んだりして、悪循環に陥りがちです。
この記事では、そんな風に悩んでいるあなたに向けて、なぜストレスで眠れなくなるのか、そして、どうすればその苦しみから抜け出せるのかを、専門家の立場からお話ししたいと思います。あなたの心と体を守るための大切な知識です。ぜひ、最後まで読んでみてください。
なぜストレスで眠れなくなるの?心のSOSサイン
私たちの体には、活動モードの「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」という2つの自律神経があります。通常、夜になると副交感神経が優位になり、心身がリラックスして自然な眠りに入ります。
しかし、受験や友人関係で強いストレスを感じ続けると、常に交感神経が昂った状態、つまり戦闘モードが続いてしまいます。脳が「今は休んでいる場合じゃない!」と勘違いしてしまうのです。これが、ベッドに入っても目が冴え、不安が頭をよぎり、眠れなくなる「不眠症」の正体です。
これは決してあなたの意志が弱いからではありません。心が発している「もう限界だよ」というSOSサインなのです。
【体験談】「ただの悩み」だと思っていたAさんのケース
Aさん(大学受験を控えた高校3年生) 半年前から、夜ベッドに入ると大学に落ちる未来ばかり想像してしまい、気づけば朝方まで眠れない日々が続きました。日中は眠くて授業に集中できず、成績も下降気味に。「みんな頑張っているんだから」と自分を奮い立たせようとしましたが、友人関係の些細なことでイライラしたり、急に涙が出たりするように。心配した親に勧められ、勇気を出して心療内科を受診しました。先生に話を聞いてもらうだけで、張り詰めていた糸が切れたように涙が溢れました。診断は「適応障害」。睡眠をサポートするお薬と、週に一度のカウンセリングを始めました。カウンセラーさんと受験のプレッシャーを整理するうちに、完璧じゃなくてもいいんだと思えるようになり、少しずつ眠れる日が増えていきました。
Aさんのように、「自分の悩みが病気だとは思わなかった」という学生は少なくありません。しかし、専門家のサポートを受けることで、心の重荷を下ろし、前に進む力を取り戻すことができるのです。
心療内科ってどんなところ?よくあるQ&A
心療内科と聞くと、「怖い場所」「薬漬けにされるのでは?」といった不安を感じるかもしれません。ここで、よくある疑問にお答えします。
Q1. 親になんて言えばいいですか? A. 「最近、ストレスでよく眠れなくて、勉強にも集中できないんだ。一度、専門の先生に相談してみたい」と正直に伝えてみましょう。この記事を一緒に見せるのも良い方法です。あなたの心と体の健康を、親御さんはきっと心配してくれるはずです。
Q2. どんなことをするのですか?薬は必ず飲みますか? A. まずは、あなたが今どんなことで困っているのか、どんな症状があるのかを、じっくりお話を聞くことから始まります(これを問診と言います)。話すだけで気持ちが楽になることも多いです。治療は、カウンセリングでストレスへの対処法を一緒に考えたり、生活習慣を見直したりすることが中心です。お薬(睡眠薬や抗不安薬など)は、あくまで補助的な役割。あなたの症状や希望に合わせて、必要最低限のものを相談しながら使いますので、ご安心ください。
Q3. 受験に影響は出ませんか?通院していることがバレたくないです。 A. むしろ、不調を放置する方が受験や学業に大きな影響を及ぼします。心療内科に通うことで心の状態が安定し、結果的に勉強の効率が上がるケースがほとんどです。また、病院には守秘義務がありますので、あなたの許可なく学校や第三者に情報が漏れることは絶対にありません。
医師からのメッセージ
ここまで読んでくれてありがとうございます。 今、あなたは暗くて長いトンネルの中にいるように感じているかもしれません。でも、決して一人ではありません。
あなたのその苦しみは、「気のせい」でも「甘え」でもありません。それは、あなたがこれまで一生懸命頑張ってきた証です。だからこそ、今、専門家の力を借りる勇気を持ってください。
心療内科やカウンセリングは、あなたの心を修理し、再び元気に羽ばたくための「保健室」のような場所です。私たちは、あなたが安心して眠れる夜を取り戻し、笑顔で未来に向かっていけるよう、全力でサポートします。
あなたの未来は、可能性に満ち溢れています。その大切な未来のために、まずは相談するという一歩を踏み出してみませんか。
引用文献
- 引用元情報:
- 論文名: The associations between academic stress, sleep quality, and psychological wellbeing among female undergraduate students in Saudi Arabia.
- 著者: Al-Khani AM, Sarhandi MI, et al.
- 掲載誌: J Multidiscip Healthc.
- 発行年: 2022
- 引用元URL (PubMed): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35928629/