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人前に出ると手が震える…それ、単なる緊張ではないかも?
誰もが一度は感じたことのある「人前での緊張」。けれど、それが日常生活に支障をきたすほどだったら、それは「社交不安障害(SAD: Social Anxiety Disorder)」かもしれません。単なる「恥ずかしがり屋」や「内気な性格」で片付けられない、医学的に治療が可能な状態なのです。
社交不安障害とは?
社交不安障害は、「人にどう見られているか」を極度に意識し、不安や恐怖を感じる精神疾患のひとつです。発症率はおよそ7〜13%とされ、思春期〜若年成人に多くみられます。
よくある症状とは?
- 人前で話すときに声が震える
- 視線を感じるだけで動悸がする
- 会話中に手汗が止まらない
- 発表の前日に眠れない
- 会食や会話が怖くて避けてしまう
これらは、社交不安障害に典型的な症状です。
社交不安障害の原因
多くの要因が関係しています:
- 幼少期のトラウマ
- 親の過度な期待や否定的な関わり
- セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の乱れ
(参考文献:Stein MB, 2008)
どうすれば改善できるの?
治療法は多岐に渡ります:
- 認知行動療法(CBT):不安の元となる考え方を修正する
- 薬物療法:SSRIやSNRIなどが効果的とされています
(参考文献:Blanco C et al., 2003)
心療内科でできること
心療内科では、社交不安障害の症状を客観的に評価し、薬やカウンセリングの両面からサポートします。一人で抱え込まずに、まずは相談することが大切です。
一人で悩まないで
「こんなことで病院に行っていいの?」と思うかもしれません。でも、あなたの生活に支障をきたしているなら、それは立派な相談理由です。勇気を出して、一歩を踏み出してみませんか?
医師からのメッセージ
「人前で極度に緊張してしまう」「手の震えが止まらない」…その悩み、決してあなた一人だけのものではありません。社交不安障害は治療できます。どうか、あなた自身の心を守るために、気軽にご相談くださいね。
引用文献
Stein MB, Stein DJ. Social anxiety disorder. Lancet. 2008;371(9618):1115-1125.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18374843/
Blanco C, Heimberg RG, Schneier FR, et al. A placebo-controlled trial of phenelzine, cognitive behavioral group therapy, and their combination for social anxiety disorder. Arch Gen Psychiatry. 2003;60(3):289-296.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12622662/