
目次
強迫性障害とは?
**強迫性障害(OCD)**は、「自分でも不合理と分かっていても、特定の考えが頭から離れず、同じ行動を繰り返してしまう」病気です。
例)鍵を閉めたか何度も確認する、手を洗いすぎて手荒れがひどくなるなど。
この症状は、生活の質を大きく低下させ、仕事や人間関係にも影響を与える可能性があります。
よくある強迫行動とその背景
- 戸締まりや電気の確認を繰り返す
- 汚染(ばい菌など)への過度な恐怖
- 縁起担ぎのような儀式的行動
- 思考の中で「不吉なことが起こるのでは」という恐怖
これらは、本人の努力だけでは止めることが難しく、「安心するためにやっているのに、不安が増していく」という悪循環に陥ります。
なぜ強迫性障害が起こるのか?【原因とメカニズム】
強迫性障害の原因は、以下のような複合的要因が関係しています:
- セロトニンなどの神経伝達物質の乱れ
- 家族歴や遺伝的傾向
- 幼少期のトラウマや不安体験
神経生物学的メカニズムに関しては、脳の前頭前皮質と線条体の過剰な活動が関与しているとされています(Stein DJ, et al., Lancet 2019)。
👉 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30712706/
治療法はあるの?―薬物療法と認知行動療法
現在、強迫性障害は治療可能な病気です。
- **SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)**などの薬物療法
- 認知行動療法(CBT)、特に「曝露反応妨害法(ERP)」という手法が効果的
特にERPは、「不安を引き起こす状況に慣れる」訓練で、多くの研究で有効性が報告されています。
(Franklin ME, et al., Psychiatric Clinics of North America, 2014)
👉 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25150570/
放置するとどうなる?
強迫性障害は、放置することで悪化し、うつ病や不眠症、仕事の喪失など二次的な問題につながることがあります。
「性格の問題」として片付けず、早期に治療を受けることが非常に重要です。
一歩踏み出すために:受診とカウンセリングのすすめ
「自分は病気ではない」と思っていても、症状に悩んでいるなら、それは心のSOSかもしれません。
心療内科では、あなたの不安や行動の背景にある心理状態を丁寧に聞き取り、適切な治療方針を提案します。
心療内科医からのメッセージ
「心があなたに送っているメッセージに、どうか耳を傾けてください。
確認せずにはいられないのは、あなたの弱さではありません。
それは“回復可能な症状”です。私たちは、あなたの心の整理整頓をお手伝いする準備ができています。」