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友だちがいるのに孤独を感じるのは おかしいことではない
外から見える人間関係の量と、心の満たされ方は一致しないことがよくあります。
10代、20代は、進学 就職 恋愛 友人関係 SNSなど、環境と評価の軸が一気に増える時期です。周りに人がいるほど、かえって自分の居場所の感覚が揺らぐこともあります。
孤独感は、性格の弱さではありません。多くの場合、心が出しているメッセージです。
たとえば、次のような状態が続くと、友だちがいても心だけが置いていかれる感覚が起こります。
- 気を使いすぎて、会ったあとにどっと疲れる
- 本音を言えない、関係が壊れそうで怖い
- いつも明るい自分を演じている気がする
- SNSの反応で気分が上下する、承認欲求が止まらない
- ひとりの時間が不安で、でも誰かといるのもしんどい
こんなサインが続くなら 心と体が疲れている合図かも
孤独感は心の現象に見えますが、実際には自律神経や睡眠の乱れとセットで出ることが多いです。
以下が2週間以上続くなら、うつ状態 不安障害 適応障害 社会不安などの入口になっている場合もあります。
こころのサイン
- 理由のない不安 焦り
- 何をしても楽しくない 興味がわかない
- 人と会う前から緊張してしまう
- 自分が透明に感じる 自己肯定感が下がる
- 些細なことで涙が出る イライラが増える
からだのサイン
- 不眠:寝つきが悪い、早朝覚醒
- 動悸、息苦しさ、胃の不快感
- 食欲の低下、過食
- 朝がつらい、頭痛、めまい、倦怠感
- 休日に寝だめしても回復しない
この段階で休める人は対処上手です。早めに相談したり休息をとることができるほど、回復は軽く短く済む傾向があります。
なぜ孤独感が消えないのか 10代 20代に多い背景
孤独感の裏には、たいてい複数の要因が絡みます。よくある背景を、心療内科での臨床で多い順に挙げます。
1 つながりの量が多すぎる、SNS疲れ
常時接続中の人間関係は、脳にとって休みがありません。
既読
既読、未読、いいね、フォロワー、ストーリーなどの刺激で、気づかないうちに交感神経が張り詰め続ける状態になります。
結果として、会っているのに心が落ち着かない、虚しさが残る、という形で孤独感が出ます。
関連語としては、SNS疲れ 、デジタル疲労、比較癖、承認欲求、FOMOなどが近い概念です。
2 本音が言えない、いい人でい続ける疲労
人に合わせる力が高い人ほど、人との関係が増えます。その一方で、自己開示や自己主張が少ないと心の親密さが育ちにくく、孤独が残ります。
このタイプは、表面上は円満でも、内側では緊張が続きやすく、不安や抑うつに傾くことがあります。
3 過去の経験が今の人間関係に影を落とす
いじめ、無視、仲間外れ、家庭内の不安定さ、失恋、裏切られた経験などがあると、つながりがあっても、無意識に距離を取ってしまうことがあります。
心は自分を守るために、親密さを怖がることがあるのです。
4 睡眠不足と生活リズムの乱れ
睡眠が崩れると、感情の調整が難しくなります。すると孤独感が増幅し、さらに眠れなくなる悪循環に入りやすい。
心療内科では、孤独感の訴えが主でも、睡眠の評価を合わせて行うことが多いです。
5 発達特性や感覚の過敏さ
ASDやADHDの特性がある人は、雑談や空気読みで消耗しやすいことがあります。本人の努力不足ではなく、脳の特性として疲れやすい場合があります。
適切な工夫と環境調整で、孤独感がやわらぐことも少なくありません。
体験談 友だちの輪の中で笑っているのに苦しい
実際の診療でよく出会うパターンを、個人が特定されない形に整えて紹介します。
体験談1 大学生 19歳 女性
サークルにも入っていて、予定は埋まっているのに、夜になると泣きたくなる。
みんなといるときは明るくできる。でも帰宅すると、今日も本音を一つも言えなかったな…と胸が痛む。
眠りも浅くなり、講義中に動悸。心療内科で睡眠と不安を整えつつ、カウンセリングで 自分が嫌われないために頑張りすぎる癖に気づき、少しずつ関係の作り方が変わっていった。
体験談2 社会人 23歳 男性
仕事の飲み会もこなせるし、友だちもいる。でも、誰にも弱音が吐けない。
休日はスマホを見続けて時間が溶け、月曜が怖い。仕事のメールには早く返さなければと思ってしまいスマホが手放せない。
診察では、軽い抑うつと不安の高まり、睡眠の乱れが見つかった。治療で生活リズムを立て直し、認知行動療法 CBT的な整理を始めたら、孤独感が 波 のように来ても、飲まれにくくなった。
孤独感は、その人の背景と生活リズムが映す体温のようなものです。責める対象ではなく、整える対象です。
今日からできる対処法 人間関係を壊さずに楽になる
孤独をゼロにするより、孤独に飲まれない状態をつくることが現実的です。負担が少ない順に並べます。
1 連絡頻度を下げる、返信のルールを決める
例)
- 夜22時以降は返信しない
- 既読をつけない時間帯を作る
- 通知を切る
SNS疲れの軽減は、自律神経の回復に直結します。
2 ひとり時間を回復の時間として扱う
孤独とひとり時間は別物です。
音楽、シャワー、散歩、ストレッチなど、短時間で整う行動を固定すると、孤独感が来たときの足場になります。マインドフルネスや呼吸法も有効です。
3 小さな自己開示を試す
いきなり重い話をしなくて大丈夫です。
今日ちょっと疲れてる、最近眠りが浅い、など一文だけでも、親密さの方向へ関係が動くことがあります。
4 比較を誘発する環境から距離を取る
フォロワーの楽しそうな投稿が刺さるときは、あなたがダメだったりあなたに何か足りないところがあるのではなく、今の脳が疲れているサインです。
ミュートや整理は、人間関係の断絶ではなく衛生管理に近い行為です。
心療内科とカウンセリングでできること 治療の選択肢
孤独感が長引くとき、心療内科は救急車の手前で使ってよい場所です。特に、不眠・不安・動悸・食欲低下・集中力低下がセットなら、早めの受診が勧められます。
心療内科でよく行うこと
- 問診と心理教育 何が起きているかを一緒に言語化
- 睡眠と自律神経の評価
- うつ状態、不安障害、適応障害、社会不安、パニック障害などの鑑別
- 必要に応じた薬物療法
例 )不眠の調整 抗不安薬や抗うつ薬の適正使用 体質や副作用の確認 - 休養や環境調整の提案: 学校や仕事への診断書(相談を含む場合あり)
カウンセリングで得られやすいこと
- 気を使いすぎる思考パターンの整理
- 境界線(バウンダリー)の練習
- 認知行動療法(CBT)での不安の扱い方を習得する
- 過去の体験が現在に与える影響の理解
薬は土台を整える道具、カウンセリングは関係性と自分の扱い方を学び直す場、と捉えると選びやすくなります。両方を組み合わせると効果が出やすいケースも多いです。オンラインカウンセリングが合う人もいます。
※本記事は一般的な医療情報です。症状が強い、希死念慮、自傷の衝動がある、日常生活が回らない場合は、早急に入院加療な医療機関や緊急窓口へ相談してください。
よくあるQ&A FAQ 孤独感 SNS疲れ 不安 うつとの違い
Q1 友だちがいるのに寂しいのは甘えですか
A 甘えではありません。関係の数と、安心して弱さを見せられる感覚は別です。寂しさは、もっとつながりたい、休みたい、守りたい、などの心のサインとして扱うと回復につながります。
Q2 孤独感と うつ病の違いは何ですか
A 孤独感は単独でも起こりますが、抑うつが強くなると、眠れない、食欲が落ちる、何も楽しめない、集中できない、自分を責めるなどがセットになりやすいです。2週間以上続くなら心療内科で評価を受ける価値があります。
Q3 SNSを見ると余計につらいです どうすれば
A まず通知オフと閲覧時間の上限設定が現実的です。つらい時期は ミュートにしたり、フォロー整理することも有効です。SNS疲れは自律神経の乱れと結びつきやすいので、睡眠の確保が最優先です。
Q4 カウンセリングって何を話せばいいですか
A まとまっていなくて大丈夫です。最近の出来事と、つらさの点数化 0から10 だけでも十分始められます。話しながら、原因とパターンが少しずつ見えてきます。
Q5 心療内科に行くほどではない気がします
A 行くほどではないと思っている段階が、実は最も相談に適しています。重くなる前に、睡眠と不安の軌道修正をすると、通院回数も少なく済みやすいです。
Q6 薬は依存が心配です
A 依存が起こりやすい薬と、そうでない薬があります。目的はつらさを一時的に下げて回復の行動が取れる状態を作ること です。医師と相談しながら、少量から開始し、副作用確認しつつ、定期的な見直しを行えば安全性は高まります。
医師からのメッセージ
友だちがいるのに孤独を感じる人は、たいてい真面目で、人を大切にできる人です。だからこそ、気づかれないところで無理を重ねてしまいます。
孤独感は、あなたの価値を示すものではありません。今の生活と心の負荷が、少し大きすぎるだけかもしれません。
眠れない、食べられない、不安が止まらない、予定が怖い。そんなサインがあるなら、心療内科やカウンセリングを 早めに使ってください。治療は、壊れてから始めるものではなく、守るために始めるものです。あなたが、ひとりで抱え続けなくていいように。

