
「寝ようと思っても眠れない」「朝起きたくても体が動かない」——そんな睡眠リズムの乱れ、実は“心の不調”のサインかもしれません。
本記事では、睡眠とメンタルの深い関係性、考えられる疾患、そして心療内科でできるサポートまでを、医師の視点からやさしく解説します。
目次
夜眠れない、朝起きられない…その症状に隠れているもの
「寝つけない」「何度も目が覚める」「朝起きられず遅刻してしまう」
こうした状態が数日間続くのはよくあること。
ですが、これが数週間、あるいは1か月以上続く場合は要注意です。
多くの場合、背景には心のストレスやメンタル不調が関係しています。
睡眠とメンタルは深くつながっている
睡眠は、心と体の健康を保つために欠かせません。
うつ病、不安障害、適応障害など多くのメンタル疾患では、初期症状として「睡眠の乱れ」が現れることが多いのです。
📖 参考文献:
Baglioni, C., et al. Insomnia as a predictor of depression: A meta-analytic evaluation of longitudinal epidemiological studies. Journal of Affective Disorders. 2011.
→ PubMedリンク
心の不調が引き起こす睡眠障害の種類
入眠障害
寝つきに30分以上かかる
中途覚醒
夜中に何度も目が覚める
早朝覚醒
朝4〜5時に目が覚めて眠れない
過眠傾向
十分寝ているはずなのに日中に強い眠気がある
これらは、うつ状態や不安状態、ストレスの蓄積により起こることが多く、放っておくと日常生活に大きな影響を与えます。
そのまま放っておくとどうなる?
「たかが眠れないだけ」と思ってしまいがちですが、慢性的な睡眠障害は
- 自律神経の乱れ
- 判断力や集中力の低下
- イライラや不安感の増大
- うつ病への移行リスク
など、メンタル・身体両面に悪影響を及ぼします。
📖 参考文献:
Wulff K, Gatti S, Wettstein JG, Foster RG. Sleep and circadian rhythm disruption in psychiatric and neurodegenerative disease. Nat Rev Neurosci. 2010.
→ PubMedリンク
心療内科でできる治療とサポート
「心の問題かもしれないけれど、何科に行けばいいかわからない…」
そんなときは心療内科やメンタルクリニックが頼りになります。
当院では、以下のようなサポートを行っています:
- 睡眠の質や心の状態を総合的に評価
- ストレスマネジメントのためのカウンセリング
- 必要に応じた睡眠導入剤や抗不安薬の処方
- ライフスタイル改善のアドバイス
“眠れない理由”を単なる生活習慣のせいにしないで、医師と一緒に根本原因を探りましょう。
がんばり屋さんほど、自分を責めないで
「寝つけないのは自分がだらしないから」
「もっと頑張ればちゃんと起きられるはず」
——そうやって自分を責めていませんか?
それはあなたの性格のせいではありません。
脳と神経、ストレスホルモンのバランスが崩れているサインです。
まずは「休むこと」から始めてください。治療を受けることは、怠けることではありません。
体のサインを無視しないで
睡眠は“心の鏡”とも言われるほど、メンタルの状態を反映しています。
「最近、夜がつらい」「朝、起きられない」
そんなときは、心の疲れが限界にきているサインかもしれません。
無理せず、ひとりで抱え込まず、心療内科へご相談ください。
私たちは、あなたの“眠れない”を一緒にやさしく整えていきます。
医師のことば
睡眠は、心の健康のバロメーター。
あなたの夜と朝に、安心を取り戻すお手伝いをします。