研究紹介 「社会的孤立と晩年における記憶力低下の関係」

社会から孤立することは記憶力の低下につながるのか、なんとなく疑問に思った方はいらっしゃると思います。
過去の複数の研究から、社会的孤立や社会的接触の低い状態と認知機能の間には、関連があることが示唆されており、社会的な刺激の低下が認知機能の低下につながる可能性がありました。
2020年のイギリスの研究では、50歳以上の女性約6123名と男性5110名の社会的孤立と記憶の関連性を男女別で分析しました。調査は2002年から2年ごとに6回行われました。

結果は、下記の通りです。
・時間の経過とともに社会的孤立は増大し、記憶力は低下した。
・男性:もともとの社会的孤立が大きいほど、記憶力の低下が大きかった。
・女性:社会的孤立が大きくなるほど、記憶力の低下が大きかった。

社会的孤立と記憶力低下の関連は、記憶力の低下が社会的孤立の増加につながるというよりも、社会的孤立が記憶力低下の増加と関連しているために生じることが報告されました。社会的孤立のレベルが高い男性や、長期にわたって社会的孤立が蓄積している女性は、これらの孤立のパターンがより深い記憶力の低下と関連していることから、特に影響を受けていると言えるかもしれません。社会的孤立を減らすために、何らかのコミュニティへの所属、友人関係や家族関係の強化、SNSなどの利用、外出・運動・イベント参加などの機会を増やすことで、将来の記憶力低下を予防できる可能性があります。

引用文献:
Read S, Comas-Herrera A, Grundy E. Social Isolation and Memory Decline in Later-life. J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci. 2020;75(2):367-376. doi:10.1093/geronb/gbz152

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