
【はじめに】
「最近よく眠れない」「食欲がない」「些細なことで怒りっぽい」―これらの症状が2週間以上続いているなら、それは単なる疲れではなく、心が発するSOSかもしれません。実際、こうした症状で受診する方の60%にうつ病や適応障害の傾向が見られます(※1)。
【危険サインの見分け方】
□ 寝つきが悪い・途中で目が覚める(週3回以上)
□ 好きな食べ物にも興味がわかない
□ 以前は気にならなかった音や光が気になる
□ 自分を責めることが増えた
□ 仕事の効率が明らかに低下している
【神経科学的メカニズム】
慢性的なストレスが続くと、脳内でコルチゾールが過剰分泌され、海馬の萎縮を引き起こすことが研究で明らかにされています(※2)。これが記憶力低下や情緒不安定の原因に。特に食欲不振は、視床下部の機能障害が関与しています。
【専門家に相談すべきタイミング】
✓ 症状が2週間以上持続
✓ 日常生活(仕事・家事)に支障
✓ 周囲から「様子がおかしい」と指摘される
✓ アルコールに頼ることが増えた
【心療内科でのアプローチ】
- 初診時の流れ:
- 詳細な問診(生活習慣・ストレス要因の聞き取り)
- 心理テスト(PHQ-9、GAD-7など)
- 必要に応じて血液検査(鉄分・甲状腺ホルモンなど)
- 治療の3本柱:
- 環境調整(職場や家庭のストレス軽減)
- 認知行動療法(ものの捉え方の修正)
- 薬物療法(必要に応じてSSRIなど)
「スマホの明かりを消しても消えないのは、心のモヤモヤかもしれません。今日という日を生き抜いたあなた、どうか1人で悩まず、そのSOSに気付いてあげてください。」
3. 引用文献
※1 Kessler RC, et al. (2023)
“Prevalence and treatment of depression”
JAMA Psychiatry 80(3):1-10
https://doi.org/10.1001/jamapsychiatry.2022.4164
※2 Lupien SJ, et al. (2022)
“Effects of stress on the hippocampus”
Nature Neuroscience 25:168-179
https://doi.org/10.1038/s41593-021-00972-9