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ニュースを見るだけで心がつらい…その正体とは?
災害、事故、事件…毎日のように飛び込んでくる「つらいニュース」。
あなたが涙を流したり、胸が痛くなったりするのは、心のやさしさが原因かもしれません。
ただし、そのやさしさが積み重なると、「共感疲労」という形であなた自身を傷つけてしまうことがあります。
「共感疲労」とは何か?
共感疲労(compassion fatigue)とは、他人のつらさに共感しすぎることで自分自身が精神的・身体的に疲弊してしまう状態を指します。
もともとは医療従事者や支援職に多く見られましたが、最近ではSNSや報道によって、一般の方にも広がっている現象です。
📚 引用文献
Figley CR. Compassion Fatigue: Coping With Secondary Traumatic Stress Disorder in Those Who Treat the Traumatized.
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20632147
共感疲労の症状チェックリスト
- 災害・事件のニュースを見て強い悲しみや怒りを感じる
- 見知らぬ人の苦しみにも心が引きずられる
- 頭痛、倦怠感、眠れない日が増えた
- 他人の話を聞くのがつらくなる
- 「何もできない自分」が嫌になる
1つでも当てはまる方は、共感疲労の兆候があるかもしれません。
なぜニュースで疲れてしまうのか
人間は「ミラーニューロン」という脳の働きによって、他人の感情を自分のもののように感じてしまいます。
特に、映像・音声・SNS投稿などは臨場感が強く、知らず知らずのうちに脳が“その場にいる”と錯覚してしまうのです。
放っておくとどうなる?
共感疲労は、放置すると以下のような二次的な問題に発展する可能性があります:
- 情緒不安定
- 燃え尽き症候群
- 慢性疲労
- うつ病や不安障害
自分のやさしさを守るためには、心の限界を知ることがとても大切です。
心療内科でできるケアと治療
- 認知行動療法(CBT):過剰な責任感や罪悪感を見直す
- マインドフルネス療法:今の自分の感情にやさしく気づく
- 薬物療法:不眠・不安が強い場合は補助的に使用
「話すことがつらい」方にも、専門的な技術を用いて寄り添います。
📚 引用文献
Ray SL et al. (2013). The impact of compassion fatigue on mental health professionals: a review.
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23454966
心が疲れたときに知ってほしいこと
共感疲労は、「心のやさしさ」が引き起こすごく自然な反応です。
決してあなたが弱いわけではありません。
情報を制限することも、心を守る大切な手段です。
必要に応じて、専門家の手を借りましょう。
医師からのメッセージ
「共感できるあなたのやさしさは、かけがえのないものです。でも、自分の心を守ることも同じくらい大切です。あなたが安心して生きられるように、私たちはそっと支えます。」