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「空気が読めない」と言われたときの心の葛藤
「空気が読めない」「場の雰囲気を壊す」と言われたことはありませんか?
自分では一生懸命対応しているつもりなのに、周囲とずれていると感じてしまう。そんな“ズレ”の背景に、大人のASD(自閉スペクトラム症)が隠れていることがあります。
ASD(自閉スペクトラム症)とは?
ASD(Autism Spectrum Disorder)は、コミュニケーションの困難さ、こだわりの強さ、感覚の過敏性などを特徴とする神経発達症のひとつです。
かつて「アスペルガー症候群」と呼ばれていた状態も現在はASDの一部とされています。
大人のASDの主な特徴
- 雑談が苦手、話題の切り替えに困る
- 冗談や比喩を真に受けてしまう
- 職場で空気を読んだ行動ができないと言われる
- 感覚が過敏(音・光・匂いなど)
- 予定外の変化に強いストレスを感じる
これらの特徴を持つ人は「協調性がない」と誤解されがちですが、脳の特性によるもので、努力不足ではありません。
ASDと診断されるまでの流れ
大人のASDは見逃されやすく、うつ病や適応障害と誤診されることもあります。
以下のようなステップで診断が行われます:
- 問診と症状のヒアリング
- 家族歴・幼少期の様子の確認
診断がつくことで、自己理解が深まり、適切なサポートや配慮を受けやすくなります。
心療内科でできること・カウンセリングの重要性
ASDは治すべき「病気」ではありませんが、生きづらさへの対処は重要です。
心療内科では、下記のような支援が可能です:
- ストレスの対処方法の指導(CBTなど)
- 二次障害(うつ、不安障害)の予防と治療
- 就労や人間関係の相談
- 必要に応じて、発達特性に理解のあるカウンセラーとの面談
自分を責めないために知ってほしいこと
ASDの特性は「欠点」ではなく、個性の一部です。
生きづらさに苦しむ必要はありません。自分を理解し、必要な支援を受けることは、恥ずかしいことではなく大切な第一歩です。
生きづらさを抱えるあなたへ
「空気が読めない」と言われて、つらい思いをしたことのある方。
それは、あなたの“努力不足”ではありません。
必要なのは、適切な理解と支援です。
一人で悩まず、ぜひ心療内科へご相談ください。
信頼できる引用文献(PubMedより)
American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-5).
Lord C, Brugha TS, Charman T, et al. Autism spectrum disorder. Nat Rev Dis Primers. 2020;6(1):5.
→ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31911649
医師からの言葉
「生きづらさには必ず理由があります。あなたの困りごとは、“あなたのせい”ではなく、特性によるものかもしれません。まずは一度、専門家に相談してみてください。一人で抱え込まなくて大丈夫です。」